皆さん、こんにちは。インドネシア現地で法律事務所を運営しております、株式会社SUNTO JAPAN です。
インドネシアは、世界でも有数のEコマース市場として急成長を続けています。この活気あふれる市場に参入を検討されている日本企業も多いことでしょ う。しかし、ビジネスを成功させるためには、現地の法規制を正しく理解し、コンプライアンスを徹底することが不可欠です。
本ブログでは、インドネシアのEコマースにおける主要な法規制を解説します。特に、Eコマース事業者が知っておくべきライセンス、消費者保護、そして最新の 税務関連ルールについて、ポイントを絞ってお伝えします。
なぜ今、インドネシアのEコマース法規制が重要なのか
近年、インドネシア政府はデジタル経済の健全な発展を目指し、Eコマースに関する法規制を強化しています。その背景には、以下のような理由があります。
• 国内産業の保護: 安価な輸入品の流入から、国内の中小零細企業を守るため。
• 消費者保護の強化: オンライン取引における消費者の権利を保護するため。
• 税収の確保: デジタル取引から公正な税収を得るため。
特に2023年には、ソーシャルコマース(SNSを通じた取引)や越境EC(国境を越えた取引)に対する規制が強化され、海外企業や現地企業双方に大きな影響を与えています。この変化に対応するためには、古い情報に頼らず、常に最新の法規制を把握しておく必要があります。
Eコマース事業者が取得すべき主要なライセンス
インドネシアでEコマース事業を行うには、事業の種類と規模に応じたライセンスが必要です。中でも特に重要なのが「事業基本番号(NIB)」と「輸入業者認証番号(API)」です。
事業基本番号(NIB)
NIBは、インドネシアで事業を行うすべての企業に求められる基本中の基本となる事業許可番号です。Eコマース事業も例外ではありません。 このNIBは、オンラインの単一提出システム(OSS: Online Single Submission)を通じて取得できます。NIBの取得は、法人設立プロセスの一環として行われることが一般的です。
輸入業者認証番号(API)
もし、貴社が海外から商品を輸入してインドネシア国内で販売する越境ECビジネスを検討している場合、APIの取得は必須となります。APIには、「一般輸入業者認証番号(API-U)」と「生産者輸入業者認証番号(API-P)」の2種類があり、取り扱う商品や事業形態によって取得すべきものが異なります。
また、特定の輸入品目(医薬品、化粧品、食品など)を扱う場合は、それぞれ所管省庁からの特別なライセンスが必要になることがあります。特に、ハラル認証が必要な商品もあるため、事前に確認が必要です。
詳細はこちらから.
消費者保護法:事業者としての責任を果たすために
インドネシアでは、1999年に制定された消費者保護法(UUPK)がEコマースにも適用されます。この法律は、取引における消費者の権利を守ることを目的としており、事業者には以下の義務が課されます。
• 正確な情報提供: 商品やサービスに関する情報を正確かつ正直に提供する義務。虚偽の広告や誇大な表現は厳しく禁じられています。
• 商品・サービスの品質保証: 販売する商品やサービスが、健康・安全・環境基準に適合していることを保証する義務。
• 消費者苦情対応体制の整備: 消費者からの苦情や問い合わせに迅速かつ適切に対応するためのシステムを構築する義務。
また、Eコマースに関する法律**「電子情報および取引に関する法律(ITE法)」**は、オンライン取引における電子署名の法的有効性や、デジタルデータの真正性を定めています。オンライン契約を締結する際には、この法律に準拠した形式で手続きを進めることが重要です。
デジタルサービスに対する税制と最新の改正
Eコマース事業者にとって、税金はビジネスの収益に直結する重要な要素です。インドネシアでは、国内のEコマース事業者だけでなく、海外のデジタルサービス事業者も特定の条件を満たす場合、VAT(付加価値税)の徴収義務を負います。近年 VAT は頻繁に変動します。詳細はこちらからから
特に、2023年の法改正では、越境ECにおける輸入貨物の関税・税制ルールがより明確化されました。これにより、低価格の商品であっても課税の対象となるケースが増えています。
税関・関税に関する主な注意点:
• 輸入品の申告: 輸入品の価格、種類、数量を正確に申告する必要があります。
• 税率の適用: 商品の種類や価格帯に応じて、輸入関税、VAT、所得税が課されます。
これらの税務ルールを遵守するためには、インドネシアの税務当局(DGT)に適切に登録し、正確な納税申告を行うことが不可欠です。
インドネシアでのEコマース成功のために
インドネシアは、巨大な市場とデジタル化の波によって、非常に魅力的なビジネス機会を提供しています。しかし、その一方で、法規制は常に変化しており、これらを無視してビジネスを進めることは大きなリスクを伴います。
Eコマースビジネスをインドネシアで成功させるためには、以下の3つのポイントを常に意識してください。
1. 事業形態に合わせた適切なライセンスを取得する。
2. 消費者保護に関する義務を理解し、遵守する。
3. 税関・税務の最新ルールを常に把握し、適切な納税を行う。
私たちは、インドネシア現地の法律事務所として、在インドネシアの日本企業の皆様が安心してビジネスを展開できるよう、法的サポートを提供しています。Eコマースの法規制に関するご相談や、事業設立に関する手続きでお困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
本ブログが、皆様のインドネシアでのビジネス成功の一助となれば幸いです。